女性の脱毛症の原因や対策|女性ホルモンの減少は抜け毛に影響する?

掲載日:2020.04.10 更新日:2020.04.16

この記事の監修 アンファー株式会社

女性がかかりやすいとされる脱毛症には色々な種類があり、その原因もさまざまです。なかには、年齢を重ねるごとに減少する女性ホルモンが影響して引き起こされる脱毛症も存在します。そこで今回は、女性に多い脱毛症やその原因、対策について紹介します。

女性型脱毛症の種類と原因

女性型脱毛症には様々な種類が存在しますが、代表的なもの6つをご紹介します。それぞれの特徴や原因とされるものを確認しておきましょう。

女性に多いとされる脱毛症の例

  • 牽引性脱毛症
  • ひこう性脱毛症
  • 脂漏性脱毛症
  • 円形脱毛症
  • びまん性脱毛症
  • 分娩後脱毛症


1つずつ症状について解説していきます。

牽引性脱毛症

牽引性脱毛症は、髪がある一定の方向に引っ張られ続けることが原因で起こる脱毛症です。ポニーテールなどで髪をまとめたり、エクステをつけたりするなどで、髪の毛が部分的に引っ張られると毛根に負担がかかります。それが習慣化すると、毛根がその負担に耐えられなくなると脱毛に繋がります。

ひこう性脱毛症

頭皮の角質の異常が原因で発症するのがひこう性脱毛症です。角質の異常により大量のフケが出てしまい、角質やフケが毛穴に詰まってマラセチア菌などを増殖させ、結果的に毛根が炎症を起こして脱毛に繋がると言われています。

脂漏性脱毛症

脂漏性脱毛症は、皮脂の分泌が過度になったことにより起こる脱毛症です。偏った食事や生活の乱れ、心身のストレスなどさまざまな影響を受けて頭皮の状態が悪くなった結果、皮脂が過度に分泌される場合があり、それをエサにマラセチア菌が増殖します。

常在菌でカビの一種でもあるマラセチア菌は通常は無害ですが、増えすぎるとマラセチア菌が皮脂を分解することで生み出される遊離脂肪酸も増えるため、頭皮に刺激を与えます。頭皮が強い刺激を受けると炎症を引き起こし、脱毛に繋がることもあります。

円形脱毛症

円形脱毛症は、免疫機能に異常が起こる脱毛症です。免疫系の細胞が毛根を攻撃することで傷がつき、脱毛に繋がると言われています。

また、ストレスや遺伝も原因になる考えられています。強いストレスが継続すると、それに耐えられる体にするため交感神経が働きます。交感神経に負荷がかかりすぎると血管が収縮してしまい、毛根に栄養が行き届かなくなり、脱毛を引き起こすことがあるといわれています。

症状としては硬貨のように丸く部分脱毛が起こるのが基本ですが、それが数か所に及ぶこともあります。頭部全体が脱毛する全頭型や、全身の毛が抜ける汎発型もあり、症状は人によって様々です。

びまん性脱毛症

「びまん」とは一面に広がるという意味で、頭髪全体が薄くなる症状がびまん性脱毛症の特徴です。びまん性脱毛症の原因はさまざまですが、主な原因と考えられるのはヘアサイクルの乱れです。

ヘアサイクルとは、毛が生えて成長し抜け落ちるまでの成長周期を指します。このヘアサイクルが乱れると、毛が生まれてから抜けるまでの期間が短くなり、毛が充分に成長せず細い毛になったり、脱毛しやすくなったりするのです。

ヘアサイクルの乱れは様々な原因で引き起こされますが、女性特有の理由としては女性ホルモンの減少が挙げられます。

分娩後脱毛症

女性ホルモンの影響を受けやすい脱毛症には、分娩後脱毛症も挙げられます。出産後に発症しやすいとされ、びまん性脱毛症と同様に頭髪が全体的に薄くなったり抜けたりすると言われています。

妊娠中は子宮環境を調節するため女性ホルモンの分泌が盛んになり、出産後は産前の状態に戻るため、分泌量が減少します。分泌が盛んな約10か月の妊娠期間は髪の健康が保たれやすい一方で、産後には分泌量が急激に減り、その落差から女性ホルモンのバランスが乱れて脱毛に繋がるとされるのです。

抜け毛・薄毛と女性ホルモンの関係とは

女性に多い脱毛症が引き起こされる原因の一つに、女性ホルモンの分泌量の低下が挙げられます。女性ホルモンの一種であるエストロゲンには髪を太く、丈夫にする働きがあるため、分泌量が減れば髪が弱く抜けやすくなり、薄毛に繋がると言われているのです。

女性ホルモンは加齢のほか、前述のように妊娠や出産の影響を受けて減少しやすいとされています。

10~20代でも脱毛症になる!年代別の薄毛の原因と対策

脱毛症を発症するのは年配の方だけではありません。10〜20代でも脱毛症の症状が出る場合があります。ここでは年代別に発症しやすい脱毛症の例や対策を紹介します。

若年性の脱毛症の場合

10〜20代の若い女性は、一見抜け毛とは縁がないように思われますが、生活習慣の乱れやストレスの蓄積などが影響している場合、発症する可能性があるといわれています。

また、ポニーテールやエクステをつけることなどにより髪の毛が引っぱられ、頭皮の血行に影響を与えることがあります。その結果として髪に栄養が行き渡らなくなり、それが原因で薄毛になる恐れあるのです。

睡眠不足や偏った食生活によっても、血行不良や栄養不足で抜け毛・薄毛になる可能性が考えられます。対策としては充分な睡眠をとり、バランスのよい食生活を心がけることが大事です。おしゃれに関しても、頑張りすぎて髪に負担をかけるような髪型は避けましょう。

また、ストレスを溜めないように、自分に合った趣味や娯楽でストレスを解消できるものを見つけることも大切です。

30代以降の脱毛症の場合

30代以降になると抜け毛が気になると感じる女性が多くなるかも知れません。これには毛母細胞の老化や、生活習慣が乱れやすい傾向にあること、ホルモンバランスなどが関係しているとされます。

髪を作る元となる毛母細胞は加齢によって弱り、抜け毛や薄毛へと繋がるとされています。もちろん個人差はありますが、髪の老化は30代からはじまると言われています。また、無理な食事制限などで栄養のバランスが偏ると髪に必要な栄養が不足し、抜け毛の原因となるとされています。過度な飲酒も栄養不足を招く原因になると言われています。

さらに加齢による女性ホルモンの減少も挙げられます。女性ホルモンが減って髪の潤いやハリが損なわれ、抜け毛につながる恐れがあります。30代以降は特に卵巣や子宮の病気を発症しやすくなるため注意が必要です。

対策としては生活習慣の改善や栄養バランスのとれた食事を摂ることなどがあげられます。極度な食事制限を行うと髪にとって必要な栄養が不足しやすくなります。また、過度な飲酒やタバコを避けましょう。
女性の場合、男性に比べて筋肉量が少なく、血行不良のため冷え性になっていることがあります。血行が悪ければ髪にとって必要な栄養が送り届けらにくくなり、抜け毛を引き起こすこともあるため、運動によって血行を促しまししょう。血行促進には習慣的な入浴も効果的です。

脱毛症による抜け毛がひどい場合は病院を受診しましょう

抜け毛がひどいと感じる場合は、まず病院を受診しましょう。ここではどのような病院で受診するべきか解説します。

抜け毛の場合、病院は何科へ行けばいいのか

抜け毛と同時にかゆみや炎症が起きているなどの異常が見られるのなら、まずは皮膚科を受診することをおすすめします。

髪を清潔に洗っているのに頭皮の脂分が多い場合も、脂漏性脱毛症や脂漏性皮膚炎などが疑われます。髪を強く引っ張るヘアスタイルを続けている場合は、牽引性脱毛症かもしれません。いずれも皮膚科への受診が賢明です。

家系に薄毛の人が多く遺伝の可能性を感じる場合や、これまで甲状腺異常を指摘されたことがある場合、また薄毛以外にも何らかの体調不良を感じる場合などは、内科に相談してみるのがよいでしょう。

分娩後脱毛症や、全体的に髪が薄くなったり細くなるFAGA(女性男性型脱毛症)の場合、ホルモンが髪の状態に関係している場合があります。生理不順や更年期において薄毛が気になる人や産後の脱毛症がおさまらない場合は、婦人科へ相談してみましょう。

女性の抜け毛や薄毛に対する薬や治療法とは

女性の抜け毛や薄毛の治療には、おおむね以下のような薬や治療法が想定されます。

  • 内服薬「パントガール」
  • 外用薬「ミノキシジル」
  • メソセラピー


抜け毛や薄毛の原因や進行レベルによって適正な治療方法は異なりますので、それぞれの特徴や適用すべき症状の度合いについて解説します。

内服薬「パントガール」

びまん性脱毛症や、分娩後脱毛症および抜け毛の改善が期待される薬です。(日本では薬として承認されていません)ドイツの製薬会社によって安全性と発毛促進効果が認められており、臨床試験として3か月の服用で70%の患者において抜け毛の減少が見られました。女性の抜け毛、薄毛対策について定評がある海外の治療薬で、初期症状の人から進行している人まで幅広く服用することが多い薬です。

外用薬「ミノキシジル」

1999年に一般医薬品の承認をとった薬です。2005年に、女性用としてミノキシジル配合の育毛剤が発売されました。頭皮の血管拡張によって血流を改善し、毛母細胞を活性化させる効果が見込まれます。清潔な頭皮に塗布するだけなので、手軽に薄毛改善を図ることができます。ミノキシジル配合の発毛剤には男性用、女性用とあり、女性が男性用を使うと副作用のリスクなどが高まります。必ず女性用の発毛剤を使用してください。

メソセラピー

注射によって育毛促進剤を投与する治療法で、初期の薄毛症状の人や内服薬、外用薬で改善が見られない人も受けることがあります。クリニックによって異なりますが、薬剤にはミノキシジルや発毛成長因子、ビタミンなど抜け毛や薄毛に有効な成分が配合されています。

抜け毛に効果があるとされる漢方薬について

女性の抜け毛の原因は、心身のバランスの乱れが関わっていることも多いとされます。抜け毛の治療は西洋医学が一般的かもしれませんが、漢方医学による治療も効果が期待できます。

漢方医学において、抜け毛や薄毛の原因とされるものは次の3つに分類されます。

  • 1.血虚
  • 2.気虚
  • 3.腎虚


血虚

漢方医学では髪の毛は体内で余った血液から作られると考えられています。つまり血液の不足や循環の悪化は髪にとって必要な栄養が欠乏するため、抜け毛を招く原因と考えられているのです。

気虚

気虚とは気の不足を意味します。強いストレスによって気のエネルギーが減少すると自律神経のバランスが崩れたり、消化器や免疫の機能が低下したりするため、抜け毛や薄毛が進行しやすいと考えられます。

腎虚

漢方医学でいう腎は腎臓のほかに生殖器、自律神経や免疫、ホルモン代謝などに関わる機能のことを指し、それが弱ると抜け毛につながると考えられています。

健康な頭皮環境づくりを助ける漢方

血虚を改善するために効果的な漢方薬は「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」や「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」などです。

気虚を改善するために効果的な漢方薬は「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」や「桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)」などがあります。

腎虚を改善するために効果的な漢方薬は「八味地黄丸(はちみじおうがん)」や「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」などです。

これらは直接薄毛を改善するわけではなく、あくまで健康な頭皮環境を作るのを助ける役割です。しかし、血虚、気虚、腎虚に対応するため、専門医に相談の上、服用するのが一般的です。

今日からできる!脱毛症の対策方法について

抜け毛や薄毛の進行を改善するためには、日々の生活習慣を見直すことも重要です。ここでは今日から始められる簡単な対処法について紹介します。

栄養バランスの良い食事と十分な睡眠をとる

医食同源という言葉もある通り、食事は髪を含む体の健康に深く関係します。栄養バランスのよい食事を摂ることは、髪にとってもよい影響を与えられるでしょう。また、髪の毛は主に寝ている間に作られ、修復されているので、できるだけ充分な睡眠をとりましょう。

紫外線から頭皮を守る

目には見えなくても、強い紫外線によって髪や頭皮がダメージを受けてしまいます。紫外線が直接頭皮に当たらないように、常日頃から帽子などでカバーすることを心がけましょう。

マッサージなどで頭皮のケアを

頭皮の過度なストレスにさらされたり、運動不足に陥っていたりすると、頭や頭皮の筋肉が凝り固まり、血行が悪化する場合があります。頭皮マッサージを行うことで頭皮や筋肉をほぐし、血流を改善しましょう。

正しいシャンプー方法を実践

シャンプーの方法を見直すだけでも、頭皮の状態が改善する場合があります。頭皮に爪を立てて洗髪していたり、すすぎ残しがあったりすると頭皮にダメージを与えやすく、抜け毛や薄毛を招くと言われています。頭皮はマッサージするよう優しく洗い、すすぎ残しに注意しましょう。

もしかして脱毛症?と思ったら早めの対策を

女性に多いとされる脱毛症としては、牽引性脱毛症、ひこう性脱毛症、分娩後脱毛症などが挙げられます。発症する原因は様々ですが、なかには女性ホルモンの減少と深く関わるものもあります。また脱毛症というと年配の方がかかるイメージがありますが、10〜20代という若年層でも発症する場合もあるため、抜け毛や薄毛が気になる場合は病院への受診を検討してください。脱毛症を予防する上では生活習慣の見直しが重要です。食事や睡眠、シャンプーの方法などを改善し、健やかな頭皮と髪を守りましょう。

この記事の監修 アンファー株式会社

○事業内容
化粧品・サプリメント・健康食品・専門医師監修によるクリニック専売品などのオリジナルエイジングケアプロダクツの研究開発及び製造・販売・卸業務。

○研究開発・製造
エイジングケア分野のNPO法人・研究団体の活動を支援するとともに、専門医師・大学機関との共同研究を通じ、研究・開発を進め商品を製造。